2012年08月13日

子供が産まれました

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もう一週間たってしまいましたが、サン・フランシスコのCalifornia Pacific Medical Centerで長女が産まれました。予定日から一週間近く遅くの出産で、生まれる前から嫁から引きこもり扱いされたりしていましたが、おめめがぱっちりした子が無事産まれました。母子ともに健康です。初産で海外で出産というのはチャレンジングでしたが、いろいろな方のサポートのもと、無事に安心して出産を迎えることができました。うちの母親もこちらまで来てくれました。とても穏やかな子で、お腹すいても、おむつが濡れてもほとんど泣かない子で、授乳の合間は良く寝ています。

ちなみに、結婚のきっかけとなった、ソニックの音楽のディレクターの瀬上純さんとは、一日違いの誕生日となりました。

アメリカでの出産

ちょっと嫁が映っている写真しかなくてアップはできないのですが嫁が撮っていたので写真を追加しました。雰囲気が伝わるでしょうか?アメリカの分娩室はなんか豪華なホテルみたいな部屋でした。日本は、膣口が完全に開ききるまで分娩室に入れず、完全に産むだけみたいな感じらしいのですが、こちらは結構長い時間(14時間ほど)滞在してました。旦那が寝るための簡易ベッドもおいてあります。嫁は産む直前に、やり残していた、iPad版の逆転裁判をクリアするなどしていました。

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産む直前に、逆転裁判をクリア

無事に産まれた後は、産後の処置をしたり、赤ちゃんを抱かせてもらったり、沐浴してもらったりして一段落。朝食を食べるなどしました。その後は、個室に移動して、しばらく滞在となります。アメリカでも高血圧などがあると帝王切開になりますが、それ以外のケースは日本と異なっていて、無痛分娩を選ぶ人が多いようです。無痛とはいっても、いつのタイミングで麻酔をかけてもらうかは患者が指定しますし、力を込められる程度の麻酔になっているようです。嫁はある程度陣痛が耐えられるうちは麻酔をせずに過ごしていました。

入院の部屋は100%個室になっているようです。大部屋みたいなのは見かけませんでした。

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入院中のご飯はメニューから自由に選べるようになっていて、塩分は控えめながら、量がかなり多くなかなか豪華な感じでした。朝メニューと、昼夜メニューとあり、ゲストの分も$8で追加できるようになっています。これは夕飯メニューです。スペシャルブレンドのスパイスの効いたサーモンと、ステーキ、チキンたっぷりのアジアサラダです。なんか病院なのにホテルにいるみたいな気分でした。

豪華な夕飯

二泊目の夜はスペシャルディナーということで、特別なメニューから選べます。レストランでも食べたことがないような、巨大な塊のステーキが出てきました。こんなサービスのおかげか、思ったよりも体重が減らないと嫁が愚痴をこぼしていました。

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サン・フランシスコはアジア人が比較的多い地域らしく、英語とスペイン語以外のサポートもいろいろあります。例えば、産婦人科の先生は中華系の名前の先生でしたが、日本語の通訳のサポートもあり、薬の相談など、細かいところまでケアしてもらいました。出産した病院でも通訳サポートがあり、母親学級(Newborn Connectionという名前)では、通訳の方に来ていただいて説明してもらえたし、出産後の授乳の指導では、電話通訳でいろいろ細かいところまで質問することができました。まぁ、それ以外の部分はほとんど英語なので、英語で出産関連の用語をいくつか知る必要があることには代わりはないですが・・・peeがおしっこで、pooがうんちですよ。ナースコールも基本的には英語で頑張る必要があります。

アメリカの出産で父親に期待されていること

アメリカ人のチームリーダーに別室に呼び出されて「何週間休みを取るんだ?4週間か?9週間か?」みたいなことをいきなり聞かれました。日本の感覚で、日単位で考えていたので、桁が違ってびっくりしたし、それを他の人に言ったら「うらやましい」と言われましたが、実体験してみると、単純にアメリカの方が恵まれているというわけではありません。

まず大きな違いとしては、出産後の入院期間が格段に短いということです。通常の分娩では2泊、帝王切開でも3泊です。日本はそれぞれ1週間と2週間ぐらいらしいです。当然、母体の体力や出産に伴う傷はまだ戻っておらず、父親や家族のサポートが必要不可欠です。そうなった理由はおそらく医療制度の違いだと思います。アメリカは保険に入っていない人も多く、なるべく入院せずに済ませよう、というのが基本的な考えのようです。

まず、母親学級的なものはありますが、両親で参加するのが当たり前だから母親という言葉はついてません。参加した時にも、15組ぐらいいましたが、全組、父親もばっちりついてきていました。

出産に父親が付きそうのは当然。また、出産直後、母親が出産後のケアをされている横で、父親だけが沐浴の仕方を見せてもらいます。また個室に移った後に、父親と赤ちゃんだけナースルームのような部屋に連れて行かれて、おむつ交換と、おくるみの巻き方とかを教えてもらいます。母親は母親だけしかできないこと(授乳)のみに集中する感じでした。入院中のその他のお世話は父親ががんばります。

授乳後の空気抜き

退院後も母親側の体の負担は大きいため、近所の薬局で買ってきた老人/痔用のクッションがとても良いらしいです。嫁は天使の輪と呼んでいます。

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日本との制度の違い

日本は自治体などの手当もあったり、日本のDeNAでも入っている関東IT健保では出産費用サポートがあったり、出産する家族のお財布の負担は少なめです。そのため、十分にゆとりをもって入院させる、という制度になっている気がします。その分、専有されるベッド数は増えるわけで、産婦人科が少ない(わけではないけど、予約が取れない)という話が出てくるのだと思います。

つまり、アメリカは出産にともなう母親が回復するための労働コストは家族が担うようになっており、社会もそれをサポートする(父親が数週間休んでも会社は喜んで送り出してくれる)ようになっていて、日本は病院がその労働コストを担っていて、その労働に対する費用コストは社会全体で税金として負担する仕組みになっているということですね。なんだか、湾岸戦争への関わり方の話を思い出すような出さないような。

産休というと休みみたいですが、アメリカでは出産を意味する用語は「Labor」で労働と同じだし、未来のための仕事、という扱いです。また、早く出るということは、その分多少の世話は家でしなきゃいけないということになります。日本だとあまりオオゴトではない黄疸も、こちらでは自宅治療対象です。光る毛布をレンタルで借りてWikipediaにあるような治療を自宅でやることになります。地味にこういうところも出費が・・・ホタルみたいで可愛いという写真がいっぱい撮れたので、コスプレ代を払ったと考えることにします。

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入院が少ないというのは産婦人科に限った話ではなく、高齢者の医療でも似たような感じらしいです。寝たきりが少なく、車椅子でも電動車椅子でもなんでも、ばんばん外出します。駐車場には必ず車椅子用のスペースがあり、車椅子のマークのついていない車を止めると州の法律で罰金が$200とか$300とか取られます(カリフォルニア州の場合)。

出産にまつわるアメリカの習慣

まず、アメリカは妊娠中にBaby Showerというのをするらしいです。これは知人とかを呼んで、赤ちゃんが産まれた後に必要なものをいろいろプレゼントしてもらうパーティーです。ベビザラスとかに行っても、贈答用のセットがいろいろ売られています。まぁ、そんな習慣をさっぱり知らなかったために、自分たちでだいたい揃えちゃいましたが・・・こんな三輪バギーのかっちょいいやつも、アメリカだと$200ぐらいから買えます。これは車用のベビーシートとセットになった、トラベルシステムというやつで、$270ぐらいでした。日本だとだいたい輸入モノになってしまうためにかなり高そうですが・・・会社の窓から見たお母さんのように、子供をこれに載せて、インラインスケートで滑りたいです。マテルの子会社?のFisher Priceブランドの製品も、日本で買うのと比べると半額ぐらいらしい。

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アメリカであかちゃん向けのおもちゃとして圧倒的なシェアを持っているのが、このキリンです。なんでも、オーガニックな素材で作られていて、口に入れても安心とのこと。

また、アメリカでは、100日咳のワクチンを、子供の養育に関わる家族全員が受けることが義務付けられています。whooping cough vaccine pleaseと言えば、街の薬局(SFのWalgreensなど)でも気軽に受けられます。このワクチンは10年程度で効力がなくなってしまうのですが、日本の場合は子供用のワクチンしかなく、大人は受けることができないらしいです。数ヶ月後にうちの子がワクチンを受けるまでに、うちの子をハグしたい方はワクチンをぜひ。

あと、今のアメリカの父親・母親世代より上は、人工のミルクで育った世代で、母乳を与えたりはしなかったみたいです。今は大分考え方が変わったらしく、初乳からばっちり与えて、6ヶ月になるまでは母乳のみで育てろ、と言われます。また、やはり30年前とかにはなかった習慣らしいのですが、今はおくるみでバッチリくるみます。そちらの方が手足がぶらぶらせず、子供も安心するみたい。このあたりは日本でも行われていることですが、アメリカでも取り入れて改善しているようです。

何はともあれ

制度や習慣の違いはあれど、子供をしっかりと育てて行かなければならないというのは代わりはないので、父親業を楽しみながらがんばっていこうと思います。インラインスケートの時に知り合ったお父さん(娘は当時の大会でトップクラスの実力だった)は、「子育ては人生最高の趣味」と言っていました。趣味というのは遊びという意味ではなく、仕事以外の時間などのリソースを惜しみなくつぎ込んで、楽しむものという意味での発言だと思います。数ヶ月先に産まれた親戚の子は、昨日ビデオチャットした時に表情が豊かで見ていてとても楽しかったし(うちの子はずっと寝ていた)、今はこんなに小さい手ですが、どんどん成長して、そのうち両親と同じぐらいの大きさになっていくというのを考えると、今後が楽しみでしょうがないです。

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posted by @shibukawa at 12:15 | Comment(77) | TrackBack(0) | 日記 はてなブックマーク - 子供が産まれました
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