つまみぐい勉強法が本屋に並び初めてから半年以上経ちました。良かったよ、と声をかけてもらえることもあったり、岡山まで話をしに行ったり、色々な体験がありました。Python Hack-a-thonでは、その後の流れなどを紹介しました。
ちなみに、このイベントの次の日が誕生日ということもあり、ソフト支配型M戦略を1週間とってきたのですが、なんと、プレゼントを贈ってくれた方が多数。iOS SDK Hacks、とらドラ! キャラクターソングアルバム、レッドブル、そして逢坂大河のフィギュア(第10話Version)をいただきました。なんという豪華な・・・というか偏った誕生日w こんなにお祝いしてもらえるのは初めてかもー。プレゼントをくださったみなさま、どうもありがとうございました。
本当はすべらない話をする、ということになっていたのですが、準備できなかったので、今回は別のお話をします。
現在、2冊同時進行で翻訳作業中です。どちらもとても良い本です。早くみなさんに紹介したいところ。
ついでに一言言っておくと、今年のセガのラインナップが集中しすぎて、時間もお金も干上がりそうな状態です。分散していただけると助かります!ちなみに、ヴァンキッシュも買いました!地獄の底までセガに付いていきます!全部買います!ソニック4はiPhone版と据え置き機で内容が異なるという噂なので両方買わざるを得ないですね。というか、このソニック攻勢に振り切れないで付いてこれている人はどれだけいるのか・・・
(補足)発表時は忘れていましたが、XBoxLive Arcade版のソニックアドベンチャーと、ソニックカラーズのサントラも出ます。サントラはとりあえず買いました!すぐに絶版で買えなくなるのが目に見えているので。
さて、ここからが本番です。つまみぐい勉強法を書いた時のこと、その後のことについて話をします。
Amazonのページと、楽天ブックスを見ていると、おおむね星を4〜5個いただき、ホットしているのですが、1件だけ、星1個のレビューがありました。
いいわけをさせていただくと、まさにおっしゃる通り、当たり前のことしか書いてません。自分たちが実際に行っていて、成果の出ていることを書いています。
本書で伝えているメッセージは、とにかく勉強し続けよう、ということです。それも一番やる気があって、集中できることをやろう、と。1回で全部理解できなくても、まずは関数を作れる所まで、次はクラスを作ってみる所まで、最後はテンプレート、みたいにステップ分けをして、途中に違う勉強を挟んでもいいんです。とにかく自分が走り続けられるペースで、勉強し続けることを訴えています。
ただ、世の中の勉強本には避けることのできないジレンマがあります。一番ひどいのになると「本当にその勉強法やっているの?」というのもあります。どうしても、「簡単に成果が出る」「こんなにすごい成果が出る」と書きたいし、実際書くと売れるんでしょうけど、現実から離れたモデル化が行われてそれが一人歩きしてしまっても、そんな本は役に立ちません。また、著者にもいろんな性格の人がいますが、コツコツタイプの勉強を、自由気ままな人に押しつけても成果は出ません。あくまでも「この方法でその著者が成長できました」という本でしかないのは多いです。多くの読者に適合する保証はありません。
つまみぐい勉強法が挑戦したのは、まさにこのジレンマです。まずこの本のゴールですが、勉強会に出ているようなアクティブな技術者になる、というところに設定しています。IT業界の本の市場規模は50万(Javaのケース)という話を聞いたことがありますが、実際に勉強会に積極的に参加している人は1万人もいないと思います。単なる平均ではなくて、この上位2パーセントのできる人に焦点をしぼり、この層の平均値を物差しとして書いています。
また、なるべく多くの人に適合するように、エマジェネティックスという性格分析法を下敷きにしています。きちんと統計的に作られた方法なので、この本で挙げた4タイプのどれか(複数もありえる)に当てはまり、タイプごとの指南もしています。
そういう意味で、楽天で指摘していただいたコメントはまさにこちらの狙い通り、ということです。ただし、本書が狙っている層は、勉強会というのを気にしたこともない49万人の方です。1万人の中の方(当然、こちらの層は本もたくさん読む方が多いので、手に取る確率はこっちの方が多いと思います)は、ぜひ周りの49万人に紹介して欲しいと思っています。読んで欲しい層の人はあまり本を読まない、というジレンマは避けられてませんが・・・
まあ、どんなに偉そうに言っても、書いている本人がやっていなければ、人様に勧めることもできません。実際に僕が本を書いて、ハッカソンの日にハンズオンをやるまでの「つまみぐいの過程」を紹介していきます。
事の始まりはほぼ2年ぐらい前にさかのぼります。Vという人がErlangという言語をやたら勧めていて、ちょっと興味を持ちました。かつてユニットテストの本を出したり、アジャイルの本を出したりしている身なので「とりあえずユニットテストあたりから手を付けてみるか」と、Erlangのテスティングフレームワークのドキュメントを訳してみました。
このあたりからVの人の「あれ訳せ、これ訳せ」病が始まります。とりあえず、中級向けのEfficiency Guideの翻訳をやってみました。紹介されたツールのSphinxを使って見ました。
結構簡単に見栄えのする文章ができあがりました。結構面白いツールだし、競合が回りにあまりないので、このツール自身に興味がうつりました。つまみぐいです。
そんでもって、Sphinxのドキュメントをざっと翻訳しました。
ドキュメントを訳すと、人に紹介しやすくなりますし、いろんな場で紹介する機会をいただきました。また、何人かの人が強く反応していたため、一緒に技術を高めたり、苦労話を共有できるコミュニティを作ろうとおもいました。
ということで、何人かに手を挙げてもらい、一緒にSphinx-Users.jpを設立しました。さて、Erlangはどこにいったのでしょう?
その後も発表をしたり、イベントを開催したりしました。転機になったのは、OSC Tokyo 2010/Fallへの参加です。
ミドクラという会社の外人のエンジニアの方と名刺交換をして、その後一緒に食事に行きました。その場でおしえてもらったのが、openstackというフレームワークです。Erlangをやりたかった目的はクラウドや超並列演算などだったのですが、Sphinxを経由してこっちに興味の対象が戻ってきたと言えます。つまみぐい勉強法は予想外の出会いをもたらしてくれます。
Vの人にOpenStackを紹介したら、その後「中で使われているDBがおもしろいよ」という話に。そういうことなら訳してみよう、と話が盛り上がりました。
そうやってできたのが、Redisの日本語サイトです。微妙にアーカイブにしかなかった情報なども整形して載せていたりするため、本家サイトよりも詳しい所もあります。また、さりげなくサンプルのPHPをPython+Tornadoに変更していたりします。「元サイトよりも詳しい翻訳サイト」となるべく、今後もがんばっていこうと思っています。
いろいろつまみぐいしてきましたが、次にやりたいのはOpenStackそのものです。新しいマシンも化って準備万端です。
ということで、情報を出せば出すほど、新しい情報もたくさん帰ってきます。これは「返報性」という人間の持つ性格によるものです。どんどん公開しまくって、信用貯金を貯めまくりましょう!
また、本を書いた後に教わった/思いついたネタとしては上に挙げたようなこともあります。特にブログの方は要注意。Redisも翻訳したあとに改めて検索エンジンで調べてみると、ブログで過去にちょろっと紹介したりという情報はたくさん出てきますが、全貌がつかみにくく、ドキュメントとしても目に付きにくいと思います。おすすめはSphinxです。
こんな感じで、著者も相変わらず実践し続けているのがこの「つまみぐい勉強法」です。「宝くじで3億円当てたい!当てたら遊ぶ!」みたいな人には合いませんが、着実に成長していきたい人の役には立つと思います。ぜひ、興味を持ったら、また、他に「勉強して成長して欲しい」と思う方がいたら紹介してください。
それにしてもソニックチームがんばりすぎですよね。