ゴールデンウィーク後が締め切りのところ、5/6の朝4時ごろまで(清水川さんはロスタイムまで)かかって、ぎりぎりまで修正したり、少しでもいい本にしようと4人でがんばって訳したエキスパートPythonプログラミングができあがりました!訳者およびレビューアの方々には先週末に届きました。正式に本に並ぶのは5/31の予定です。なお、アマゾンだと5/28になっているので、大型書店では今週にでも買えるのかも。
- 目次などを含む、日本語版の情報のポータル的サイトと、そのはてブ by 共訳者の清水川さん
- 「エキスパートPythonプログラミング」を翻訳しました(DSAS開発者の部屋) by 共訳者の稲田さん
- エキスパートPythonプログラミングのサンプルが届いた!(清水川記) by 清水川さん
- あの!アスキー・メディアワークスの書籍紹介ページ
- エキスパートPythonプログラミングに関するつぶやきのまとめ by 清水川さん
もう既に他の翻訳者の面々がブログに書いていたり、Twitterでがんがん書いていて、ちょいと出遅れましたが、僕も本の紹介をします。
日本語訳者による前書きを書いた(その後みんなで推敲)のですが、この本が良すぎて、書きたいことがふくれあがって増えすぎてしまったので、推敲に出す前にずばっと削除しました。削られた内容を中心にいろいろ加筆しつつ、本書のすばらしい部分を紹介していきます。
Pythonの最新の知識とその適切な使い方が身につく
今でこそ3系への移行ということで、大きな変化の真っ最中ですが、Pythonという言語そのものは後方互換性も高く、一度学んだ知識をアップデートしなくても、あまり不便を感じないですごすことができます。また、新しい文法というのは、たんなるシンタックスシュガーではなく、新しい開発のパラダイムを導入するようなものまであるため、使ってみると便利だけど二の足を踏んでいる、という人も多いと思います。そんな中、高度な文法に限定して、新しい知識を系統立ててきちんと学べる本というのは他の言語を見回してもそれほど見つかりません。
なかなかぱっとやりにくい(勇気のいる)、パッケージの開発、PyPIへのアップロードについても説明されています。gemがよくわからないので、誰かRubyの人で同じような本書いてくれないかな・・・
エンジニアとしての土台となる知識が身につく
開発プロセス、ドキュメントの書き方、ユニットテスト、プロファイリング、最適化など、言語によらないけど、きちんとした仕事をしていくには必要となる知識がつまっています。個人的にSphinxの翻訳とかコミュニティをやっていることもあり、ドキュメントの章にとても惹かれました。この本の翻訳に興味を持ったきっかけもここです。テクニカルドキュメントを書くための7つのコツはおすすめ。↓で10章は公開していますのでどうぞ。
Pythonの開発のライフサイクルを知ることができる
Pythonには開発のライフサイクルを支えるツールがたくさんあります。本書では、egg, PyPI, virtualenv, buildout, Sphinx, Mercurial, Tracなど、現在のPython界で良く使われるツール群の適切な使い方、連携の仕方が、ライフサイクルの各段階ときちんと呼応するように書かれています。単に文法に詳しい、というだけではなく、実践的な意味で「Pythonに精通している」と言えるような知識がまとめて手に入ります。
もしもタイトルを自由に選ぶことができるのであれば、「達人プログラマー」という言葉の入ったタイトルにしたいような内容になっています。
いい意味で突き抜けている
この本の最初はものすごくインストールの説明が丁寧です。Windows, Mac, Linuxについて、それぞれバイナリパッケージ、ソースコードからのインストールを説明をしていたりします。ですが、次の瞬間、「Pythonにあう開発環境はVimです」と、vimrcの解説が始まったりしますw
翻訳時にちょっと話題になった、「ウォーターフォールの開発プロセスは、分析→設計→TDD」というのは、日本的には???という感じかもしれません。TDDはアジャイルと同じ文脈で語られるので。でも、海外ではアジャイルがウォーターフォールよりもシェアが高くなっているという話もあるし、海外ではもうTDDはメジャーなのかもしれません。
日本語版の方が良い?
僕自身Python歴はそろそろ8〜9年ぐらいです。かなり書いて、そこそこPythonの知識には自信がありましたし、PyPIにアップロードとかもしていましたが、とくに開発ツールのベストプラクティスという意味ではかなり未経験な部分がこの本の中に数多くありました。また、共訳者の人たちの知識も豊富なため、さまざまな学びを得ることができました。日本語版オリジナルで、稲田さんが書かれた日本語の章もおすすめです。
なお、日本語版は対象バージョンを2.5系から2.6系にバージョンアップし、説明を更新しました。また、さまざまなサンプルコードなど、細かい部分まで間違いを修正したり、2.7以降の動きについても補足を加えたりして、原著を買った人にもお勧めしたい完成度になったと思います。原著者のTarekも、「日本語版の方が良い」というようなメッセージを寄せてくれました。
ポップ
池袋ジュンク堂のポップも書いてみました。日曜日にお店の方にお渡ししたので、ジュンク堂に並ぶ時にはこれもついているかも。あなたも今日から「蛇遣いエキスパート」というコンセプト?です。Pythonは蛇ではないけど。他の書店のポップも承りますので、もしポップがご入り用な書店の方はメールいただけたら、と思います。
10章無料公開しています!
原著でもサンプルとしてこの章が無料公開されていますが、日本語版でも同じように公開できることになりました。ウェブ上でも読めますし、PDF、iPadで読めるePubファイルも公開しています。iPadを買われた方は、きっと何か使ってみたくなると思うので、ePubファイルをおすすめですよ?iPad読みやすそうです!(写真は@takabowのご協力によりゲットできました)