2009年10月06日

年金だってゲーム


taken by Stephen Brace under CC BY-NC

ずっーっと前から考えて続けていたのは、「政治も、出世も、全部ゲームだよね」ということです。正確には世の中そのものじゃなくて、その中で作られている「社会」というものがゲーム。「制度」とか「プロセス」という名前がつくものはすべてゲームですよね。 MMORPG(多人数同時参加型のRPG)。

例えば、年金というのは「どれだけ経験値を積むと(年金を納める)と、どのぐらいレベルがあがるか(定年後の収入)が上がるか」というゲームです。経験値の積み方が少ない人でも、なんとか死なずにクリア(生活をまっとう)しなければならないし、議員年金みたいなちょっとでも議員になると年金がもらえるのは「チート」みたいに言われるし、消えた年金は「冒険の書が消えました」に相当します。

どんなゲームでも重要なこと

ゲームで重要なのはバランスです。ゲームをある程度やったことなら分かると思いますが、簡単すぎるゲームというのもつまらないんですよね。完全にランダムな要素だけのゲームもすぐに飽きるでしょう。もちろん、難しすぎてもダメです。レベル99でも、レベル30でも、それなりに楽しめる。そういうゲーム作りが難しいけど必要となります。特にオンラインの複数人でプレイするゲームだとね。初心者でも上級者でも、同じように楽しんでもらうための仕組みが必要です。レイヤーを分けて、クラスが違う人が会わないようなヒエラルキーのある世界にするか、それとも、レベルの差を小さくするような補正をかけていくか・・・

年金みたいな制度もそうだし、社内の出世の仕組み、簡単すぎる(年功序列)と頑張ってスキルアップする人はいなくなるし、ソフトウェア開発もアジャイルだと努力(タイムボックス数)と成果がシーケンシャルだけど、ウォーターフォールだとレベルが上がる(製品の機能実装)とレベル上げの時間的な差が大きいところが面白くない部分として言われるんじゃないかな、とか。チャレンジとリターンのバランスが良い部分(フロー体験)を多くの人に体験させる仕組みを考える必要があります。

例えば、公共事業の入札の制度も、あまりにも発注側の自由度が高くなっちゃうと「犯罪で捕まるリスク」よりも「悪いことしてキックバックもらおうぜ」というリターンの方が大きくなってしまい、そこに挑戦するヤツらが出てきてしまいます。相手が突っ込んで来るのを予想していちか罰か(リスク)鉄山靠をしかけて大ダメージを与える(リターン)賭に出る(バーチャファイターの例)のと一緒ですよね。鉄山靠を使わせないようにするには、攻撃力を弱体化させる、当たりにくくする、みたいなゲームバランスデザインが必要になります(ちなみに、実世界はゲーム違って技をなくすのはできないが、バランス調整はできる)。

ゲームを考える人に重要なこと

実際にプログラミングしてゲームを作る人はそんなにいないと思いますが(まぁ、僕のブログを読んでいる人はプログラマは多いはずだけど)、制度とか仕組みというのは多くの人が関係します。ルールを作る上でまず必要なのはステークホルダーのゴール。例えば、子供に勉強をさせる場合、「勉強が終わるまでゲームなしね」とか、良く言うと思いますが、「子供を勉強させる」という親のゴールがあり、子供のゴールは「ゲームをする」で、障害が「勉強」です。障害が大きすぎて到底ゴールに到達できないと子供が思えば、その親の考えたゲーム(制度)からの離脱(反抗)という結果にもなります。そのようなものを色々考える上で役に立つ本が「おもしろい」のゲームデザインです。

日本だと、RPGなど、ストーリーやキャラクターというのがゲームの主要要素みたいに言われるけど、実際は絵と勝ち負けの仕組みは独立事象。そのあたりを突っ込んで書いてあるのが上記の本です。もしもステークホルダーが多くなってきた場合には、それぞれの好みのタイプとかも考えながらゲームバランスを取っていく必要があります。それについては、ユーザをタイプに4タイプ×2(ハードゲーマーか、カジュアルゲーマーか)の8パターンに分類している、「ヒットする」のゲームデザインが参考になります。コミュニティを運営する運営委員のルールもゲームだし、仕事の計画もゲーム。リスクを考えつつ、どんな状況が起こっても、なるべくハイスコア(短期間?成果?)を狙うというゲームです。「ヒットする」の方は、弾力収縮性など、計画を立てる際の評価に使える視点が色々でてきます。操作の難しさの数値化の評価とかも、システム開発とか、ウェブサイトのデザインにも応用できますよね。

今後重要になる人材は?

僕が考える、今後必要になる人材は「ゲームを考えられる人」です。多くの人に参加してもらって、多くの人を満足させるゲーム。長い期間遊べて、持続可能なゲーム。ゲームを遊ぶだけなら誰でもできます。与えられた仕事をするだけもね。でも、周りも巻き込んで流れを作って、みんなをゴールに行かせる気にさせて、幸せにする。「俺が自分のために頑張る」でもなく、「誰か私を幸せにしてください」でもなく、周りの人が自発的に動くような場を作る。目の前の楽しいモノをどんどんこなしていたら、すごい成果が実は得られていた、そういうゲームが作れるゲームメーカーが仕事の場でも政治の場でも家庭の中でも必要になっていくんじゃないでしょうか?

で、このブログを書くきっかけになったのは、最近フォローしている@junkudo_ike_pcです。近所のモールの閉店時間が早くなって平日に本屋に行って情報が入ってくる機会は減っているのですが、なんか新しい本が続々紹介されるので・・・ついつい週末は買いに行ってしまうのですよね。僕みたいに広く浅く色々ネタ収集するタイプの人は危険なのでフォローしないように!

posted by @shibukawa at 00:17 | Comment(127) | TrackBack(0) | 日記 はてなブックマーク - 年金だってゲーム
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