DELLの本を読みました。在庫削減はトヨタ生産方式の代名詞ですが、トヨタ生産方式の大野本を読んだときとだいぶ印象が違いました。顧客のために、という理念を達成するためにダイレクトモデルに絞り、在庫を減らす、という話に繋がっていきます。同じ在庫を減らすのでも、トヨタは戦後の製造業を維持していくためには生産力の急激な向上が不可欠、という信念があったと大野本には書いてありました。その価値観はもはや通用しなくて、手法だけが一人あるきしているイメージがあります。ビジョンは大切だよね、というのが一番の学びです。
この本を読んで一番大きな気づきは、デルが急成長している企業なのに、サプライヤーと一緒に成長していくだとか、顧客の利益などの、企業文化を大事にしている、ということです。Joel On Softwareには、急成長している企業には文化を構築する余裕がない、と書いてあったので、異色な感じがしました。企業を維持拡大していくためには、不変の価値観が必要。この本からはそれが読み取れます。
注文が入ったら、サプライヤーにもその情報が伝達される、という仕組み。在庫削減をするには当然必要となる仕組みだろうなぁ、と考えてきたことがここに書かれていました。トヨタ生産方式の教科書には「カンバンで情報が伝達される」のように書かれていますが、さすがに21世紀にもなって、それを馬鹿正直にやっているなんてことはないよなぁ、と思います。おそらく、デル同様、サプライヤーも含めた情報伝達の仕組みを現在のトヨタもやっていると思います。カンバン原理主義者はそうは思ってないかもしれませんけど。
生産革新、人事、企業文化、技術とのつきあい方。デルにまつわるいろいろな話が展開されていきますが、一本の芯が通っているので、読んでいて気持ちが良かったです。それはそうと、タブレットPC,もっと安くならないのかな?10万円代にならないとまだ手が出ません。
posted by @shibukawa at 00:00
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