これはPySpaアドベントカレンダー2017のエントリーです。
三年前に家、今月は車とローンをガシガシ組んだりしたのですが、お金を借りるということについて、まだまだ否定的な人がいたりするので、借りるということはどういうことなのかまとめてみます。 お金についての教育は日本にはないので、将来、子どもたちにお金について説明するための考えの整理でもあります。
特に、今は働き方改革という名の下に副業もできるようになってきました。去年ぐらいから自動車ローンも繰り上げ返済が可能になりましたし、残価設定ローンとの組み合わせで戦略の幅が広がったので、定期的に入る収入を当てにしたローンとくらべて、副業する人に優しくなっています。このあたりはお金を借りたことがある人も、そうじゃない人にも参考になるかなと思います。
お金を借りる==時間を買う
日本だと「お金を借りる」ことを蛇蝎のように嫌がる人、恐怖を覚える人が数多くいます。そもそも何のためにお金を借りるんでしょうか。 お金を借りると当然利子が発生します。現金をがっと貯めてから購入すれば利子の分お得です。お金を借りると損です。それでも借りるのは、時間を前倒しするためです。30年ローンで家を買わずに、お金が貯まるまで待ってから買うとすると、家を手に入れるころにはもう爺さん婆さんになっているでしょう(買うまでの賃貸も別にかかります)。ファミリーカーを買う頃には子供が独立して旅行にいくことはなかった、となるかもしれません。なるべく若い内に手に入れて、それを存分に楽しむというのがお金を借りる理由といえます。つまり、お金を払うのは時間を買うということになります。
長期間使うものであれば、借りて自分のものにすることでお金を節約するというのもあります。
例えば、うちでは毎週土曜、日曜はたいてい車ででかけますし、平日も子供の病院などでよく運転します。この前売ったシビックは10年で9万キロ弱です。この期間と距離走るのであれば、レンタカーにせよ、カーシェアにせよ、タクシーにせよ、買ってしまった方が安いですし、貸し借りの手続きや待つ時間も節約できます。
家を借りるのと買うのとどちらが得かという話はよく出てきますが、短期的に見れば買ってしまったほうが得なはずです。特に、数が少なくて流動性の低いファミリータイプの新し目の物件だと、賃貸と購入で月々の金額が2倍、もしくは面積が半分というのが東京圏では平均的な差でしょう。借りる金額には、修繕の予備費やら固定資産税(自分で住まないと高い)とかも上乗せされる上に、数%の不動産投資利回り等も載ってきます。貸し出す方も商売ですからね。うちは駅からは少しありますが、23区で上モノ80平米ちょっとで、土地も同じぐらいの駐車場付き一軒家で、ローン支払いは9万円台です。
大事なのは返済できること
お金を借りる、という行為にも種類がたくさんあります。それによって利率が大きく異なります
- 目的を決めて借りる。返す見込みがあるものを借りる == 利率が低い
- 目的が不特定 or/and 返す見込みの確認が少なく簡単に借りる == 利率が高い
これ以外にもベンチャーのファンド的なものとかもありますが、本稿ではそこは省略します。もちろん、これにとどまらずたくさん種類があります。
目的を決めて、なおかつ審査など返す見込みを確認するのが住宅ローンや自動車ローンなどです。住宅ローンは0.7%、自動車は1.9%とかでしょうか。2つ目はクレジットカードの分割やリボ払い、クレジットカードを使ったキャッシング(お金を借りる)、消費者金融などで、利率は15%とかにもなります。大きいですね。3番目のは僕は詳しくないので、省略します。
銀行などはお金を貸して利子をもらう商売です。返せない客にお金を貸すと銀行も損をしてしまうので、高リスクな分、利率があがります。 住宅や自動車の金額が大きなローンだと、支払い能力があるかどうかのチェックがあり、リスクのチェックを事前に行うためにその分利率が低くなっています。 なお、リスクチェックは所属会社とかで決まることも多いので、いくら年収が大きくても自営業だと審査が通らないことも数多くあります。 残酷ですが、大きな会社の所属して、転職前にローンを組むという話はそこから来ています。
クレジットカードも分割をせずに期日に間に合わせて支払えば利子はかかりませんが、その期日を過ぎれば「お金を借りている扱い」となって利子が発生します。分割払いやリボ払いがそうですね。クレジットカード会社は、クレジット払いの時の一定割合を手数料としますが、この利子も収益源です。リボ払いにすると年会費が安くなりますという案内がよく来ますよね。顧客獲得コスト(安くなる年会費)以上に収益が見込めるということでしょう。
基本的には短期間で返し切る前提でなければ借りない方が懸命でしょう。クレジットカードのキャッシングも、僕はやったことはないですが、海外で現金を下ろすときには便利(ただし、日本に帰ったら速攻で返すこと)とのことです。
大事な原則は「借りたら返す」ということです。クレジットカードも、クレジットのキャッシングも打ち出の小槌ではなくて、将来返さないといけないもの(返さないと利子が発生し続ける)ものです。返す見込みがないものは借りてはいけませんし、見込みがない支払いというのはたいてい、利率が極端に大きいものばかりのはずです。支払い能力を利子が超過すると、「払い過ぎた分を取り返す」みたいな広告が去年ぐらいはたくさんありましたが、払いすぎてない分 == 法定金利は当然支払わなければなりませんし、それも利率としてはかなりの額になります。
知人から聞いた嘘みたいなカード破産の話としては、リボ払いをして、その支払をクレジットカードのキャッシングを使って払う、というものがありました。 やばいですよね。鳥肌が立ちますよね。このヤバさが分からない人はこのエントリーを読んだとしてもお金を借りる系のものには手を出してはいけないです。
繰り上げ返済とローン戦略
さて、ようやく書きたかったところに来ました。
お金を借りると利子が発生するので、利子を減らすには借りる額と期間を減らすのが基本戦略になります。具体的には頭金をたくさんぶっこんで支払い能力のあるかぎり月々の支払いを増やす、ということになります。
しかし、頭金を大量につっこむと、手元資金がなくなるため、突発的な出費で身動きが取りにくくなります。月々の支払いを増やすのもそうですね。やばいですよね。家だと数十年のローンになりますので、その間にライフスタイルは大きく変わってきます。結婚。出産。子供の教育費用。同じ会社で年功で収入があがるなら話は早いのですが、そういう時代でもなくなってきていますし、育休の場合はその期間年収が減ります。老後の積立も自分でやらないといけない時代ですので、その出費も考えないといけません。
このあたりは去年と今年のPySpaアドベントカレンダーに色々話があります。僕もジブラルタ生命の営業の人に分析とかしてもらいましたし、フィナンシャルプランナーがPySpaでブームです。客観的に分析してもらうと良いです。うちはローンを組んだ後でしたが。
ライフスタイルというお話だと、ローンの支払いとは関係ないけど、次のエントリーもおすすめです。
ローンは決まった額を常に払っていきますが、基本の作戦としては、なるべく支払い期間を延ばして、月々の支払いを減らすということになります。で、余裕のあるときには、繰り上げ返済で払っていきます。支払額を一時的に増やすことはできても一時的に減らすことはできないという下方硬直性があるので、それ以外の作戦はないでしょう。去年あたりから、自動車でも繰り上げ返済できるようになりました。なので、副業収入を当てにしないで破綻しないようになるべく薄く払うローンにしておいて、副業収入が入ったらガンガン返す、というのが可能になりました。特に僕の場合は書籍の印税でしたので、「月収」「ボーナス」という枠に入れづらく、総額でいくら入るかといった話があっても、ローンに組み込みにくいというのがありました。せいぜい、ある程度まとまってから頭金に入れる以外はありませんでした。みなさん、安心して本を書きましょう。
家の場合は団信にたいてい入るので、ずばっと死んでしまえばローンはチャラになって資産として家族に残るので心配はありませんが、中途半端に病気とか怪我で働けなくなるのが一番ダメージが大きいです。うちは収入保証の生命保険とかも組み合わせています。利率はかなり高くなりますが三大疾病、八大疾病でチャラになるというローンのオプションもありますね。去年も紹介しましたが、必要かどうかはDeNAの提供している遺伝子検査のMyCodeとかも参考になります。
残価設定ローン
とりあえず、時期は伸ばせるだけ伸ばすということで、変数は頭金だけになりました。頭金に対しても作戦がいくつかあります。
住宅ローンだと、一部の銀行(新生銀行?)が、銀行口座に入っている金額の分は利子が発生しないという住宅ローンを提供しています。現金がたくさんある人には良いと思います。
自動車だと残価設定ローンというものがあります。これは、3年とか5年後に決まった額(3年後だと半額、5年後だと1/3)を払って乗り続けるか、次の車を買うかが選べるというローンですが、見方を変えれば、その決まった額の分、頭金を後払いにしているといえます。オデッセイハイブリッドのローンをこの前組みましたが、320万ぐらい借りて、ボーナスは15万、月々は14000円で、最終支払は111万円です。転職したばかりでまだ今月はボーナスすくないという時期で、頭金も払えないこともないのですが、まあ色々出費もある時期ですし、とりあえず手元に残す作戦で残価設定ローンにしました。来年以降がっと返す予定ではあります。
ホンダのお店の案内によると、残価設定ローン利用者は2/3ぐらいにも上るとのこと。期間が長くなりがちということもありそうですが、利率も低めで積極的に勧めているようです。
住宅ローンは低金利だからこれを借りっぱなしで別のものにお金を使うというのは正しいのか
利率だけみれば住宅ローンは自動車の1/3ぐらいではありますが、実際計算してみるとやはり金額が大きな分、住宅ローンの利子の総額は大きいです。
繰り上げ返済をどちらを先に払うかというと、100万円に対して、住宅ローンだと30年後の100万円を先行して支払う==100万x30年x利率の分の利子を支払わなくて済みます(うちは元金均等なので、元利均等だとちょっと違うかも)。20万円ぐらいにはなります。自動車ローンだと、そもそもの利子分の総額が20万円なので、繰り上げ返済してもリターンはそんなになかったりします。住宅ローン減税を考えると最初10年はあまり返さない方がいい、みたいに言う人もいますが、利子総額を考えるとそんなことなくて、最初からガンガン返せるなら返しちゃった方が計算すると得です。
まとめ
セダンのシビックハイブリッドで、トランクはベビーカーでいっぱいで、子供三人をリアシートにチャイルドシートで並べて、後部座席の足元に長女の自転車を入れて無理やり公園にいく、みたいな生活でしたがスペースに余裕が出てきて、次女と三女も子供用自転車が必要になっても運べるようになりました。子供のチャレンジと成長に車がボトルネックになりそうだったのが解消されました。
お金を借りる時は計画的に。いざとなれば売ってしまう(チャラにする)というオプションもありますし計算すれば怖いものじゃないです。最初のフィットのローンを組む時はドキドキしましたけど、今回はまったくそのようなこともなく「あ、月々15000円以下でいけるならもっと早く買い替えれば良かった」と思ったぐらい。
ライフスタイルの変化に対応できる柔軟性を考慮することで、若いうちに大きな買い物ができます。年齢が上がると体力も落ちてくるので、子どもたちと思い出をたくさん作る上でも、うまくローンを活用していくと良いです。