2016年08月29日

技術に造詣が深く、適切に布教を行いながら学びを得ている人間(A)は存在するか?

JavaScript界隈はそれまでの業界に較べていろいろ加速しているように見えます。

  • 情報の流通がコミュニティの内輪ベース(会社、勉強会、ML、mixiグループetc)から、Twitterなどのコミュニティの壁のないSNSにうつった
  • はてなブックマーク、シェア数、Qiitaのストック数など、数字で注目度の大小が比較できるようになった

その中で新しいフレームワークが出ては大騒ぎし、「2015年のおすすめのツール集」が注目され、そして2016年にはがらっと大きく変わっている。そういうフロントエンド疲れが取り沙汰されています。その中で上記の記事は、技術に造詣が深く、適切に布教を行いながら学びを得ている人間(A)がいて、その活動はいいけどそれに乗っかってマウンティングしたがりの人たちがいるとしています。では、みなさんが思うAって誰でしょうか?でもおそらく、その人達も、かつては多分下のような、現在は滅亡してしまったものに夢中になったことがあると思うんですよね。

  • MacOS (9以前), OS/2 Warp, BeOS
  • Palm Pilot, Windows Mobile
  • Delphi(あるいはBorland社の処理系全般)
  • Vzエディタ、MIFES
  • セガのハード

上記の記事にいるようなAという人がいるかというと、たぶんいない。Aは人ではなくて結果ではないかと思います。生存者バイアスですね。「あの群雄割拠の中で残ったあの技術を推してきたあの人はスゴイ」という。世の中にはBとCしかいなくて、それぞれで推しているものが世界的に認められると「ああ、あのひとはAだったんだ」と認知されると。

そもそも、煽る=人を動かそうとすることは悪いことなんでしょうかね。技術的にどんなに良くても、ファンがつかず、いろいろな解説記事がウェブや雑誌や本などにあふれず、その技術の認知がされなければ発展しません。「つくれぽ」みたいな「とりあえずインストールして動かしてみた」は、それそのものは技術的には大した内容ではないかもしれません。公式ドキュメントを読めば書いてあるようなことのダイジェストを勉強会で発表するだけも、確かに技術的発展は何もありません。でもそれが溢れれば溢れるほど、人の流入は増えます。入り口は大事。

Bな人もCな人も「高速道路を150km/hで走れば、追突されないんだからバックミラーを見る必要が無い」的な考えで、基本は「流行りを作る側に入れれば楽できる」ですよね。煽るのが目的ではなくて、自分が推しているものが生き残って楽をするための応援です。結果的にAになるか、なれないかは運などいろいろあります。その人たちが押してきたものが外れれば「あれは技術的には面白かったんだけどね」という美しい思い出に。

Aな人が布教もせずに地道に自分のブログに淡々と記事を書き、他の人な何もしない世界。これはスケールしません。困っている人、上がってきたissueやMLの質問に返すだけも、多くの人出が必要です。不具合報告で実際にバグ修正をして検証して・・・なおかつ新しい新機能を実装。ソフトウェアを安定的に維持発展させるには多くの人手が必要です。扇動で増えた人のうち、7-8割は使い物にならないかもしれません。でも、その1割でも何らかの形でコミットしようとする人が出てくればソフトウェアは回ってきます、働き蟻と一緒です。

僕もOSSに関してはいろいろ書き散らしたり、ドキュメントを翻訳したり、パッチを送ったりを日々行っていますが、僕が日本のOSS界隈に一番貢献できたことは、Sphinxのドキュメントの翻訳とコミュニティの土台を作ったことよりも、それの結果としてtk0miyaとshimizukawaをSphinxコミッターに引き込むことができたことではないかと思っています。それ以外にも何人も日本人がcontributionしています。それでも人出が足りなくて、issueがジリジリと溜り続けている状態です。もしOSS界隈に形のある成果を残したいけど、Sphinxわからんわー、という人はハンズオンもありますのでぜひ。

変化を追い続けるがツライというのであれば、人の意見は全無視して自分が「これ」と思うものに全コミットすれば問題ありません。他の人が便利なチュートリアルを作ってくれたりハマリポイントを解説してくれるなんてことは期待できなくなりますが。Mithrilはそんな感じで「僕の需要は全部満たしてくれるけど、変更も少なくて追従コストが楽」という観点でハマったので本を書きました。

変化を追い続けるのがツライ気持ちの源泉のうち「ハズレの技術を引かされるのが嫌だ」が大きく占めるのであれば、とっておきの方法があります。「今は◯◯!△△はもう古い」という煽り記事があったら、△△の方を選べばいいんです。だいたい既に安定しています。巨大なユーザベースがあります。本もたくさん出てます。フロントエンドは全部流行りものはすててjQueryにしましょう。周回遅れをあえて選び、最新にこだわらないという選択も立派な生存戦略だと思います。

そんなことよりも何よりも、「最新のものが海外からやってきて、それを選択することが技術」という流れが当たり前という方がどうなの・・・と思ったりしてます。

posted by @shibukawa at 11:19 | TrackBack(0) | 日記 はてなブックマーク - 技術に造詣が深く、適切に布教を行いながら学びを得ている人間(A)は存在するか?
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