2018年12月11日

イノベーションはどこで起きて、どこに移動していくのか

PySpaアドベントカレンダー2018のエントリーです。昨日は@taichiでした。

昔になるほど、少人数でプロダクトを作り上げた、短期間でやりきった、という話を聞きます。 たとえば、10年ぐらい前の事例だと怪盗ロワイヤルの開発の話とかありましたよね。 ずっと前だと、車の設計を第一線で指揮しながら、会社の経営をしていた本田宗一郎がいましたよね。

最近はそういう話を聞きません。ソーシャルゲームも開発費は5億を超えるようになってきました。 車の設計も3桁億円ですよね。個人でハンドリングできる分量を超えています。

ちょっとした構成要素、自動車のブレーキ1つを取り出しても、今は自動車会社のブレーキ担当の社員が一生かけて取り組むような感じです。 タイヤもなんでもそう。どんどん狭く深くなり、1人が見れる世界がどんどん小さくなっていきます。

1の工数で全体を完成させていた時代は、会社の中ですべてのプロセスが回せていました。 それで商品が開発して商売ができていました。で、よりよいものを作ろうとして2の工数をかけてすべてをブラッシュアップした製品ができました。 それが5になり、10になり、20になり、100になり・・・競争が続く限り、いくらでも工数は増えていきます。 たまに技術的な発展の恩恵を受けて工数あたりの生産性があがったりしますが、その上がった工数はさらなる品質向上に使われていきます。 だって、他の会社も似たような恩恵は受けますからね。その会社だけの恩恵にはなりません。

そのうち、工数の増加に対して、人を増やす速度が間に合わなくなったり、コストが見合わなくなります。 そうなると、完成品を作っていた会社は、その部品を他の下請け会社に依頼します。下請け会社も同じ程度の工数増が必要となります。 ですが、下請けの会社は多くの会社から受注し、数が増えるので吸収しやすくなります。開発費は変動費なので、たくさんの会社に卸して生産量が増えるとコスト削減効果が大きく見込めます。

そんな感じで、どんどん、外に投げる割合が増えていきます。それが経済合理性のある行動だから、それを止めることはできません。どの領域を自分で持って、どの領域を投げるか、どの順番で下請けに出していくかという選択ぐらいは制御可能です。もちろん、その部位が競争力の厳選であるならば、安易に投げると競争力の低下に繋がります。ですが、コモディティ化してしまうと、自前で頑張ってコストをかけるのは投資効果を弱め他のところで差をつけられる要因となります。ちょっと前までは自動ブレーキはメーカーの技術力を競う場になっていましたが、今は予防安全性能アセスメントというものができました。早晩、この星取表に合わせてみんな課題を解決して、差がなくなってくるでしょう。

今この瞬間だけを見て、「外に丸投げはけしからん」というのは簡単ですが、競争力につながらないなら仕方がないですよね。 急速な電動化も、ソフトウェア技術者がどこも不足するという結果になっていると思います。新しく採用しようにも、規模が大きくて雇用に柔軟性がない事業会社にでは転換が難しいです。 領域のシフトは10年、20年単位で計画して、大規模な人員の移行計画(首切りではなく)とセットでやらなければならない。そもそも人がいないのに、いらなくなるからレイオフ、みたいな欧米スタイルを日本でやってしまったら人が減って今の本業もだめになるだけですしね。

受け入れ側の上流の会社もサボっているわけではなく、受け入れ責任をきちんと果たしています。なにかトラブルがあったときに、 すぐに下請けやベンダーの名前を出して責任を転嫁する会社も一部にはありますが、基本的には名前を出さずに、 責任を持って顧客に提供する会社が大多数だと思います。お客さんは安心してそのブランド名を見て購入ができます。

ソフトウェアの場合はOSSとかがあって少し事情が異なりつつも、事情はだいたい一緒です。 最初は少人数で開発できていたのが、多くの人数が必要になっています。 ちょっとしたライブラリとかも少数や個人で開発できていたのが、最近はGoogle、Microsoft、Facebook、Amazonなどの 大手が提供しているOSSは積極的に使うが、他はおまけ(補完)として使う程度、みたいになってきています。 個人開発のOSSはいつ開発が止まるからわからないから警戒する、みたいな話もあります。 クラウドの場合はさらに一歩進んでいて、R&Dはクラウドベンダーが行い、他の利用者はお金でR&Dを支援しつつ、新しいものを利用させてもらう、といった感じの分業が進みつつある、という気がしています。他社がOSS+サポートでビジネスにしょうとしているOSSを利用しやすくして売上を剽窃・・・みたいないま一部で話題になっている話はとりあえずおいておきます。

ITの世界だと、何かしらの画期的なソフトウェアが出てきて(ゲーム開発のUnityとか)、○○の民主化、 みたいなムーブメントが発生することがたまにあります。ハードでも、Rasberry Piとかありますね。その瞬間は、技術力で劣っていた会社はその新しいちからを借りて ブーストし、市場に打って出ることができます。ですが、すぐにゼロスタートの血みどろのチキンレースがその瞬間から開始されます。 フランス革命は初の市民革命だったかもしれませんが、すぐに民主主義の社会になったわけではなく、ジャコバン派の恐怖政治が始まって、 テルミドールのクーデターがあって、ブルジョアジー政権になって、ナポレオンのクーデターが起きたりするわけで、ソフトウェアの世界も似ていますよね。 ゲームエンジンビジネスは、安価な値段で市場を席巻したUnityと、Fortoniteとか他に稼ぎ頭があるUnreal Engine 4の大規模案件以外は 無料という2大攻勢により、今はもう新しいプレイヤーが登場することはかなり難しい、という状況になっています。

工数と、システムの規模のアンバランスは、システムを作りきったあとにも問題として発生します。 昔書いたブログエントリーでは、ドメイン知識の分量がが現場のユーザーの理解できる量よりも大きくなってしまい、システムエンジニア側にドメイン知識が移動してしまう話を書きました。

少ない人数で手作りでイノベーションというのは、早急に工数の増加とともに、何らかのタイミングで損益分岐点を超え、企業の手を離れ、 競争の中でいつしかコモディティ化していく・・・多くの人が考えるイノベーションの形というのは、長いライフサイクルのほんの最初の一瞬だけなんだろうな、 というのを、前々職を辞めたブログエントリーを見て思いました。

自分がそのどこで技術の発展に関われるのか。常に0から1を生み出せる人は先頭にい続けられると思いますが、そうでない人は、早晩川下の方に流されていくんだろうな、と思っています。それでも、どこかしらのイノベーションのライフサイクルに、少しでも長く関わり続けられればいいなぁ、と思っています。

明日はbuchoです。抱腹絶倒かつお涙頂戴で感動の嵐間違いなしです。みんな超期待して待っていてください!

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2018年11月06日

Go言語による並行処理の献本をいただきました&Go言語の例外処理

少し前に、レビューに参加したGo言語による並行処理が出版されました。献本もいただきました。ありがとうございました。レビューする前から、かなり読みやすい翻訳となっており、3章分レビューして欲しいと、作業分担はあったのですが、おもしろくて全部読んでしまいました。より詳しい本書の内容はmattnさんのブログが詳しいので、そちらを読んでいただくのが良いと思います。

謝辞にも書いていただいたのですが、僕もGoならわかるシステムプログラミングで並行とか並列とか書いたことがあったので、注釈として原著の内容を補足して増やしてもらう方向のコメントを少ししたりしました。Goでの並行処理を学ぶには最上の一冊としてあって欲しいですからね。僕の本はどちらかというと、「Goを学ぶ」よりも「Goで学ぶ」志向ですし。また、翻訳の指摘というよりかは「きっと著者が本来言いたかったことはこうだ」と、原文で気になったところとかも多少コメントしました。

僕のレビューの貢献はごく一部ですが、ymotongpooの献身的なコミットメントや、多くの人達のすばらしい指摘により、英語ができる人が英語で原文を読むよりも、遥かにすばらしい翻訳になっています。最新の1.11での結果以外にも、いくつも日本語オリジナルのコラムがあります。英語版を買った人も、ぜひ日本語版を手にとって見てください。

context

本書でも、contextに関しては4.12で説明されています。Goの設計について議論になると高確率で指摘が飛んでくるのが例外処理ですが、contextはかなりGoっぽい例外処理機構だな、と改めて思いました。例外処理機構としてのcontextについては、Pull Requestのプロポーザルでも触れられていないので、こういうことを考えている人は少ないのかな、という気持ちもあるのでこのエントリーの中でちょっと説明してみようかと思います。

例外処理というのは、よくある言語の機能としては、問題が起きたときにそれを上流に流す機能です。あまり見かけない機能としては、Rubyのretryによる再実行とかがありますね。最近話題のReactのSuspenseは、ただ上流に流すだけではなく、完了時に再実行するためのPromiseを投げる機能が追加されています。で、golangはというと他の言語にある例外はありませんが、contextが一種の例外処理を担っていると言えると思います。

Goは本書の帯のように「湯水のように」並行処理が行えます。例外は現在実行されているスレッドのスタックを巻き戻しながら、帯域脱出します。しかし、Goのように複数のgoroutineがあると、現在のスタックのみを巻き戻しても仕方がありません。contextは、sync.Condのような条件変数として動作します。起点となるgroutineから、100個のgroutineが起動したとしても、context一つで、一斉にタスクを止めることができます。正確には、各groutineがcontextを見て、任意のタイミングで処理を中断します。

GoはgoroutineがIDを持っておらず、そのために外部から強制的に中断させることはできません。しかし、中断しても良い切のいいところにいるかどうかは外部からはわからないため、合理的な設計になっていると言えます。contextの一斉停止のトリガーも、ネットワークを使うシステムでよく使われるGoらしく、自発的なキャンセル以外にも、タイムアウトなどが用意されています。このあたり、他の言語でも少し欲しくなってきます。

Go 2のproposalの中にはエラーハンドリングについてのものもありましたが、個人的には、JavaScriptやC#などのasync関数のように、contextを扱う関数をより実装しやすくする、という方が、エラーハンドリングの根本解決になるのではないか、と思ったり・・・

話はそれましたが

Go言語による並行処理はおすすめです!6月に出たGo言語で作るインタプリタ本も良かったですし、プログラミング言語別の年収ランキング中央値1位になったGoを簡単に深く学べる環境がどんどん整ってきています。

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2018年08月12日

Go言語で作るインタプリタの献本をいただきました

オライリー・ジャパンの最新のGo本のGo言語で作るインタプリタの献本をいただきました。ありがとうございます。

本書は海外では出版社を通して出版されていないWriting An Interpreter In Goの日本語版です。誤解している人がかなり多いので捕捉しておくと、オライリー・ジャパンの本の多くは、USオライリーの本ですが、たまに別の出版社の本の翻訳があったり、描き下ろしもあります。別の出版社だと有名なのは退屈なことはPythonにやらせようで、描き下ろしだとゼロから作るDeep Learningや、僕の書いたReal World HTTPとかがあります。

本書の翻訳はとても読みやすく、どんどん読み進めることができました。翻訳の設楽さん、お疲れ様でした。

言語を作りたい人、かつて作ろうとした人も

原著は「短いページ数で実用的な言語を実装する」というのを目標に書かれています。本書のサンプルのmonkeyはどこかで見たような要素が満載の、RubyのようなJavaScriptのような言語で、前置演算子や優先順位にきちんと対応した数式、変数、if文、関数、return文を持った言語です。型も、整数、bool、nullに対応しており、4章の拡張では組み込み関数、文字列型、配列、ハッシュも実装します。お気に入りの言語風の文法を実装したい!と思っても(例えばループとか)、十分に基礎が解説されているため、応用をするのはやりやすいと思います。

プログラミング言語の要素というのは単純な単方向グラフにならず、要素が巡回するので、いくらテスト駆動開発の達人だろうが、スモールステップで開発するのが難しいジャンルのアプリケーションです。この本は動くものをどんどんスモールステップで作っていくので、非常にストレスが少なく楽しく作れます。この本はテストコードを書き、インタプリタのコードを書くというのを交互に行っていきます。

僕も、かつてFlex/Bison本を読んで、実際に趣味でインタプリタを作ってみたり(Ruby on Pythonとか)、数式パーサ(Excelのセルの数式の)を作ったりしたことがありますが、途中でずっとテストがグリーンにならない期間をずっと過ごしたり、なかなか動かなくてヤキモキして、苦しみを乗り越えてようやく動く、みたいな感じでした。本書ではうまい具合に「ここはTODOを書いて雑な実装でまずはパスして、あとで戻ってきて修正しましょう」ということが書かれています。こういう設計の分解方法はボトムアップじゃなかなか到達できなくて、熟練の業なんだろうなって思います。かつてコンパイラやインタプリタの本を読んだことがある人にも、目からウロコだと思います。僕はウロコがいっぱい落ちました。

言語を作りたい以外の人にもおすすめ

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2017年12月31日

2017年に買ってよかったもの

オデッセイハイブリッド

今年、オデッセイハイブリッドを買いました。

シビックも良い車でしたが、子供三人の自転車をつもうとするとスペース的に無理なので、買い替えました。今度買い換えるときもハイブリッドにしよう、と思っていたのと、自動ブレーキは付けたいな、と思っていました。あと、2列目がベンチシートじゃないと、子供一人が三列目、ということになってしまうので、ベンチシートは最低限。ホンダだと3列シートの車は、フリードハイブリッド、ジェイドハイブリッド、ステップワゴンハイブリッド、オデッセイハイブリッドの4つあります。このうち、ステップワゴンはスパーダ仕様しかないので2列目はキャプテンシート。ジェイドも同様なので、この2車種は選択肢から外れます(ステップワゴンは契約直前に気づいてやめた)。フリードは三列目を使わない時にスペース効率が悪いので、オデッセイになりました。

自動運転は完全に自動というわけではなく、「この条件ならいける!」というのを判定して有効化してやる必要はありますが、めちゃ便利です。自動運転と一口にいっても、機能としては自動ブレーキ&前車追従自動アクセル、高速道路限定だけど自動ハンドル、の3つです。自動ブレーキは試したことないですが、本当に楽です。もちろん、一般道の微妙なケースで「もっと早くアクセル踏んで欲しい」とか思ったりはありますが、高速道路はすごく楽です。今は状況判断は人間がやりつつ、システムの癖を把握してボタンを押すので、それなりに熟練を要する装備です。

購入前はわからなかったこととしては、自動追従モードの設定可能な最高速度は135km/hです。もちろん、前車がその速度を出さないと出ないのですが、将来、新東名が120km/hになっても利用可能です。

自動運転以外にも、音が静かだし、音楽めちゃ聞けるし、重量1.5倍になったのに燃費変わらないし、ホンダでミニバンの最高級車種なだけあって内外装もしっかりしているし、ライトとか駐車時のサイドミラー操作とかいろんなものが自動だし、すごく良いです。

インラインスケートのフレーム

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2017年12月23日

ローンについて

これはPySpaアドベントカレンダー2017のエントリーです。

三年前に家、今月は車とローンをガシガシ組んだりしたのですが、お金を借りるということについて、まだまだ否定的な人がいたりするので、借りるということはどういうことなのかまとめてみます。 お金についての教育は日本にはないので、将来、子どもたちにお金について説明するための考えの整理でもあります。

特に、今は働き方改革という名の下に副業もできるようになってきました。去年ぐらいから自動車ローンも繰り上げ返済が可能になりましたし、残価設定ローンとの組み合わせで戦略の幅が広がったので、定期的に入る収入を当てにしたローンとくらべて、副業する人に優しくなっています。このあたりはお金を借りたことがある人も、そうじゃない人にも参考になるかなと思います。

お金を借りる==時間を買う

日本だと「お金を借りる」ことを蛇蝎のように嫌がる人、恐怖を覚える人が数多くいます。そもそも何のためにお金を借りるんでしょうか。 お金を借りると当然利子が発生します。現金をがっと貯めてから購入すれば利子の分お得です。お金を借りると損です。それでも借りるのは、時間を前倒しするためです。30年ローンで家を買わずに、お金が貯まるまで待ってから買うとすると、家を手に入れるころにはもう爺さん婆さんになっているでしょう(買うまでの賃貸も別にかかります)。ファミリーカーを買う頃には子供が独立して旅行にいくことはなかった、となるかもしれません。なるべく若い内に手に入れて、それを存分に楽しむというのがお金を借りる理由といえます。つまり、お金を払うのは時間を買うということになります。

長期間使うものであれば、借りて自分のものにすることでお金を節約するというのもあります。

例えば、うちでは毎週土曜、日曜はたいてい車ででかけますし、平日も子供の病院などでよく運転します。この前売ったシビックは10年で9万キロ弱です。この期間と距離走るのであれば、レンタカーにせよ、カーシェアにせよ、タクシーにせよ、買ってしまった方が安いですし、貸し借りの手続きや待つ時間も節約できます。

家を借りるのと買うのとどちらが得かという話はよく出てきますが、短期的に見れば買ってしまったほうが得なはずです。特に、数が少なくて流動性の低いファミリータイプの新し目の物件だと、賃貸と購入で月々の金額が2倍、もしくは面積が半分というのが東京圏では平均的な差でしょう。借りる金額には、修繕の予備費やら固定資産税(自分で住まないと高い)とかも上乗せされる上に、数%の不動産投資利回り等も載ってきます。貸し出す方も商売ですからね。うちは駅からは少しありますが、23区で上モノ80平米ちょっとで、土地も同じぐらいの駐車場付き一軒家で、ローン支払いは9万円台です。

大事なのは返済できること

お金を借りる、という行為にも種類がたくさんあります。それによって利率が大きく異なります

  • 目的を決めて借りる。返す見込みがあるものを借りる == 利率が低い
  • 目的が不特定 or/and 返す見込みの確認が少なく簡単に借りる == 利率が高い

これ以外にもベンチャーのファンド的なものとかもありますが、本稿ではそこは省略します。もちろん、これにとどまらずたくさん種類があります。

目的を決めて、なおかつ審査など返す見込みを確認するのが住宅ローンや自動車ローンなどです。住宅ローンは0.7%、自動車は1.9%とかでしょうか。2つ目はクレジットカードの分割やリボ払い、クレジットカードを使ったキャッシング(お金を借りる)、消費者金融などで、利率は15%とかにもなります。大きいですね。3番目のは僕は詳しくないので、省略します。

銀行などはお金を貸して利子をもらう商売です。返せない客にお金を貸すと銀行も損をしてしまうので、高リスクな分、利率があがります。 住宅や自動車の金額が大きなローンだと、支払い能力があるかどうかのチェックがあり、リスクのチェックを事前に行うためにその分利率が低くなっています。 なお、リスクチェックは所属会社とかで決まることも多いので、いくら年収が大きくても自営業だと審査が通らないことも数多くあります。 残酷ですが、大きな会社の所属して、転職前にローンを組むという話はそこから来ています。

クレジットカードも分割をせずに期日に間に合わせて支払えば利子はかかりませんが、その期日を過ぎれば「お金を借りている扱い」となって利子が発生します。分割払いやリボ払いがそうですね。クレジットカード会社は、クレジット払いの時の一定割合を手数料としますが、この利子も収益源です。リボ払いにすると年会費が安くなりますという案内がよく来ますよね。顧客獲得コスト(安くなる年会費)以上に収益が見込めるということでしょう。

基本的には短期間で返し切る前提でなければ借りない方が懸命でしょう。クレジットカードのキャッシングも、僕はやったことはないですが、海外で現金を下ろすときには便利(ただし、日本に帰ったら速攻で返すこと)とのことです。

大事な原則は「借りたら返す」ということです。クレジットカードも、クレジットのキャッシングも打ち出の小槌ではなくて、将来返さないといけないもの(返さないと利子が発生し続ける)ものです。返す見込みがないものは借りてはいけませんし、見込みがない支払いというのはたいてい、利率が極端に大きいものばかりのはずです。支払い能力を利子が超過すると、「払い過ぎた分を取り返す」みたいな広告が去年ぐらいはたくさんありましたが、払いすぎてない分 == 法定金利は当然支払わなければなりませんし、それも利率としてはかなりの額になります。

知人から聞いた嘘みたいなカード破産の話としては、リボ払いをして、その支払をクレジットカードのキャッシングを使って払う、というものがありました。 やばいですよね。鳥肌が立ちますよね。このヤバさが分からない人はこのエントリーを読んだとしてもお金を借りる系のものには手を出してはいけないです。

繰り上げ返済とローン戦略

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posted by @shibukawa at 10:59 | TrackBack(0) | 日記 はてなブックマーク - ローンについて

2017年12月15日

異文化理解力のメタ読書のススメ

ミスタービッグデータこと、しましうまちから異文化理解力という本を紹介してもらいました(しうまちは確か@d1ce_から教わったと言ってた気がします)。アマゾンのレビューの圧倒的な評価を見れば分かるように、とてもすばらしい本です。著者が数十年にわたって仕事で活動してきた内容の集大成であり、多くの国々の人々に対する調査の結果がこれでもか、と盛り込まれた本です。下調べの圧倒的な量からして、この本を書ける人はほとんどいない、というカテゴリーの本です。

この本は、国際的なチームの仕事のトラブルの原因として、受け手が期待するものと、話し手が期待する価値観の違いがあるとして、8つの領域に分けて詳しく説明しています。普通に読んでもとてもおもしろく、「ああそうだよね」と思うところもたくさんありました。ただ、この本を文字通りではなく、応用的に読むこともできます。本エントリーでは2つの視点を紹介します。

ちなみに、アマゾンのKindleの方には書籍紹介として、(なぜか)本を貶めるような説明(おそらくレビュー記事のタイトルで本文を読まないと真意は分かりません)もありますが、そんなことはありません。

  • 「残念ながら、日本人の8割にこのビジネス書はいらない。」 HONZ書評掲載で話題沸騰! (10/7、佐藤瑛人さん)
  • 「ビジネスで英語を必要とする人々は、この知識こそ必要だ。」 成毛眞さん(HONZ代表)推薦!

日本国内のカルチャーギャップについて考察するための武器

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2017年12月14日

DeNAからフューチャーアーキテクトに転職しました。

フューチャーアーキテクト裏アドベントカレンダーのエントリーです。9月から、DeNAからフューチャーアーキテクトに転職してお仕事しております。どちらかというとネットで話題になるのはSIerからWeb系ばかりなので、それとは逆ですね。Vulsで有名な神戸さんに声をかけていただいて、一度飲み屋で焼き鳥食べながらお話をして「次は役員呼びますわ」と言われて、今の上司の宮原洋祐さんを紹介されて焼肉を食べて、「次は会長紹介しますわ」と言われて、創業者で会長の金丸さんと面談があって「うちにおいでよ」という感じで、「次転職する時はクイズみたいなの楽しみだなぁ」と期待していたものもなく、1時間の面談でOKが出てしまい、他の会社も受けることなく決まりました。人事の方も「初めてのケース」と言われてました。

なぜフューチャーを選んだのか

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2017年11月11日

2桁億円分ぐらいの価値がある本:ソーシャルアプリプラットフォーム構築技法を読みました

ソーシャルアプリプラットフォーム構築技法――SNSからBOTまでITをコアに成長するというお金の匂いがすごくする本が技術評論社から出版されました。その筋の人には有名な、田中洋一郎さんの渾身の一冊です。

田中洋一郎さんはソーシャルプラットフォームに長年携わってきました。その数々の経験から生み出されたのがこの本書です。技術書のカテゴリーではありますが、ソースコードよりもソーシャルプラットフォームが備えるべき機能の概要設計およぼそのチーム編成やガバナンスが中心です。ちょっと上流な本です。とはいっても技術の部分で見てもなかなかの太さです。洋一郎さんさんGoogle API Expertという、今はもうない肩書のホルダーです。たしかOpenSocialのExpertで、それゆえに認可認証周りとかの説明が手厚くなっています。このあたりは規格を見ても「何のために?」がよくわからないのですが、「なぜこうしなければならないのか」「それを実現するにはこの規格を実行すればよい」というのがクリアに説明されています。

また、時代の流れにあわせて、スマホアプリのソーシャルネットワーク認証周りとかも、iOS/Androidに向けてそれぞれ書かれていますし、ハマりがちな落とし穴とか、注意すべき点とかもたくさん書かれています。また、近年話題にあがることが多いチャットをベースにしたソーシャルアプリであるBOT周りとかもいろいろ書かれています。インターネットに絡む技術のうち、何を使ってどうすればいいのかを照らす松明のような本です。

この本が一番すごいのは、やはりSNSを運営するための組織体系とか、利用規約などについて、事細かに書かれています。おそらく、長年の経験による積み重ねのベストプラクティスです。法務やサポートなども含めて、本にかかれているとおりに実践しようとすると、軽く20人とか30人以上の大所帯のチームが必要になります。どんなにコンパクトで必要最低限に作ろうとしても、軽く年間で億の単位で、しばらく継続すると2桁億はお金がかかるでしょう。それだけの経験を得ないと書けないような本です。つまいは2桁億円分の価値があるといえます。また、これだけお金がかかってもなぜ企業はSNSを作るのかというと、それによって大きな収入を得たいからです。この本も、そういうチームを組織しつつ、きちんと「お金をいただく」というところを逃げずに書いています。なかなかこれほどお金に真摯な技術書はなかなか珍しいかと思います。

(お金の面で)こんなに(完全な)実践が難しい本もなかなかないからといって、それ以外の人に無駄ということはありません。本書のターゲットであるソーシャルネットワークを作る人と、それに乗っかるアプリケーションを作る人では、人数比は1:9以上だと思いますが、前述の技術的なところの内容は後者の人にも十分に役に立ちます。いや、まじで認証周りの情報が整理されている点だけで元とったと思える本です。

もうちょっと田中さんの目線で解説がしてほしかった項目も少しあります。例えば、僕が知っている内容だと、モバゲーの簡単会員とかはちょっと特殊だけど「なるほどなぁ」という仕組みだったりします。後は、最終章のBOTのAPIだとSlackがウェブフックも、ストリームもサポートしつつ、OAuth2認証のアプリマーケットまで備えたりとかなかなかリッチなので誰かに詳しく説明してほしいなぁとちょうど思っていたところです。まあ全体からすれば小さい話ですし、後者もまだまだ変わる可能性があるので本で扱うのはちょっとむずかしいかな、という気もしています。

それ以上に少しこの本が損しているな、というポイントは「ソーシャル」という言葉がタイトルに入っていることなんじゃないかと知人が指摘していました。確かに「ソーシャル」という言葉を使う機会は相当減っているような気がします。確かにSNSの最初のSはソーシャルですが、もはや「SNS」という用語みたいになっています。本書で書かれているプラットフォームは、たとえばGitHubだったり、アプリマーケット全般にも有効な話ばかりです。SNSだとマインドシェア1位以外は生き残りが難しいレッドオーシャン、みたいな印象がありますが、「アプリマーケット」という別の領域でも活躍できる話ばかりです。

なお、この本はとてもきれいな(クリーン&読みやすい)日本語で書かれています。本文で丁寧に説明されていて、脚注などはありません。しかし、「◯◯をしてしまうとトラブルが発生したときに大変です」みたいな日本語の裏には、きっと表に出せないようないろいろな修羅な体験があったのではないかと想像に難くないです。ぜひとも、洋一郎さんが、人には言えない数々のトラブル事例とかを紹介してくれるディナーショーとかあるなら参加したいですね。そういうのを想像するだけでもなかなか楽しく読めます。

posted by @shibukawa at 22:44 | TrackBack(0) | 日記 はてなブックマーク - 2桁億円分ぐらいの価値がある本:ソーシャルアプリプラットフォーム構築技法を読みました

2017年10月19日

ASCII.jpの連載「Goならわかるシステムプログラミング」がパワーアップして書籍化されます

Real World HTTPに引き続き今年2冊目の書籍が出版されます。ASCII.jpの連載をまとめて、加筆修正したものになります。最初は、連載をつなげて、はじめに、と次回予告を書き換えてつなげればOKという感じからスタートしましたが、章構成を書き換えたり、書き始めのときに「そのうち連載で触れる予定です」を「◯◯章で説明します」に書き換えたり、せっかくだから内容を追記しようとか考え始めたり、レビューアのメンバーが「これは並列・並行の結果であって原則とは違う」みたいな細かい定義のところまで指摘してくれて説明を大幅に書き換えたり、蓋を開けたら前から最後までかなり時間をかけて修正することになりました。せっかく転職で有給消化が一ヶ月あったのですが、この原稿の修正で一ヶ月がするっと溶けました。

11/16追記 Amazonでも販売がはじまっています!

大きな修正ポイントは次の通りです:

  • 連載の分量の関係で、同じテーマを何回かに分けていたのをまとめた
  • 並列処理の記事からチャネル関連を抜き出して、加筆を大幅に加えて独立した章に
  • タイマーやクロックについての章を追加
  • セキュリティについての章を追加
  • Go 1.9で追加されたもろもろを追加
  • 締切の一週間前に、連載で紹介したIntelliJ IDEAのCommunity版で、Goプラグインがダウンロードできなくなったというレビューの報告を受けて急遽Visual Studio Codeに差し替え
  • 高尾編集長の徹底的な修正で日本語が大幅に改善した
  • 雪だるまの絵が、妻の書いたフクロウに変わった

これ以外にも数多くの修正を加えています。紙の書籍にするにあたって、数多くの知人に協力してもらって、レビューしていただいたのですが、1ページにつき1件というペースに近い300件近い意見をいただきました。これは連載をしていたので、一度細かい所まで見て修正したので些細なミスはあまりないはず、というところからの出発でしたが、遠慮なく徹底的にみてくださったレビューアのお陰で、かなり改善されています。ASCII.jpの連載終了から440コミットありました。

元は、LLでウェブアプリケーションフレームワークを普段作っているけど、低レイヤーを学ぶチャンスがなかなかない人に向けて本を書くといいのではないか、とラムダノートの鹿野さんと雑談したところから始まった連載でした。Real World HTTPも通信の低レイヤーではありましたが、こちらはOSの方面の低レイヤーになります。C言語を使った、読む側にもそれなりの知識が必要とされる本はいくつもありましたが(とても良い本です!)、本書はそういう既存の本よりも読みやすい本が提供できたのではないか、と思っています。アプリケーションレイヤーの応用例もイメージでき、古い本では紹介されているけど、現実的にあまり使われていないものは省き、逆に最近のトピックに触れるといったことで違いを出しました。

販売計画

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2017年05月17日

「Real World HTTP」が出版されます!

昨年から書いていたReal World HTTPがAmazonのページに表示されるようになりました。最初にコミットしたのは昨年の8/1ですが、たぶん、その数ヶ月前から書き始めていたと思うので、ほぼ丸一年です。途中でASCII.jpのシステムプログラミングの連載が始まったり、Software DesignにSphinxについて寄稿したり、もう1つ別の翻訳の企画があったり、三女が7/4に生まれたり、なかなかハードな一年間でした。

なお、表紙は皆さんが知っているものとはちょっと違うのですが、系統的に一番近いのがハシビロコウさんらしく、和名もそれしかないそうです。狙っていたわけではなく、そもそも出版時期にはアニメも終わってしまっているし、話題の動物は辞めたほうが良さそう、という話をしていたのですが、偶然これが選ばれました。

本の内容の紹介

裏表紙の紹介はこんな感じです。


本書はHTTPに関する技術的な内容を一冊にまとめることを目的とした書籍です。HTTP/1.0、HTTP/1.1、HTTP/2と、HTTPが進化する道筋をたどりながら、ブラウザが内部で行っていること、サーバーとのやりとりの内容などについて、プロトコルの実例や実際の使用例などを交えながら紹介しています。 GoやJavaScriptによるコード例によって、単純なHTTPアクセス、フォームの送信、キャッシュやクッキーのコントロール、Keep-Alive、SSL/TLS、プロトコルアップグレード、サーバープッシュ、Server-Sent Events、WebSocketなどの動作を理解します。 これからウェブに関係する開発をする人や、これまで場当たり的に学んできた人にとって、幅広く複雑なHTTPとウェブ技術に関する知識を整理するのに役立ちます。HTTPでは日々新しいトピックが登場していますが、本書によって基礎をしっかりと押さえることは、さまざまな新しい技術をキャッチアップする一助にもなるでしょう。

目次はこんな感じです。

  1. HTTP/1.0 のシンタックス:基本となる 4 つの要素
  2. HTTP/1.0 のセマンティクス:ブラウザの基本機能の裏側
  3. Go 言語による HTTP/1.0 クライアントの実装
  4. HTTP/1.1 のシンタックス:高速化と安全性を求めた拡張
  5. HTTP/1.1 のセマンティクス:広がる HTTP の用途
  6. Go 言語による HTTP1.1 クライアントの実装
  7. HTTP/2 のシンタックス:プロトコルの再定義
  8. HTTP/2 のセマンティクス:新しいユースケース
  9. Go 言語による HTTP/2、HTML 5 のプロトコルの実装
  10. セキュリティ:ブラウザを守るHTTPの機能
  11. クライアント視点で見るRESTful API

内容としては、HTTP/1.0、HTTP/1.1、HTTP/2というおおざっぱな期間ごとに次の3つの章を繰り返してその時期に登場した技術のトピックをいくつか紹介し、最後にセキュリティとRESTfulの章が追加されている感じです。

  • HTTPのシンタックス
  • HTTPのセマンティクス
  • 実際にコードを書いて試してみる

実際にはHTTPのバージョンは時期的な目安なので、そこまで厳密ではありません。消化不良にならないように読みやすく分割するための分け方です。人間の記憶はエピソードとともに知識を固定する方がやりやすいので、そういったことを心がけています。普通のHTTPのプロトコルの技術的紹介だとなかなか詳しく紹介されないであろうトピック(TLS、認証/認可、セマンティックウェブのその後、セキュリティを守るためのブラウザ技術)についても、多くの方々の強力なバックアップのもとに概要をきちんとつかめるように書きました。

アプリケーション開発だと、ウェブに関係しないシステム自体がだいぶレアになってきているので、かなり多くの人に末永く参考にしていただけるのでは、と思っています。CGI時代やJ2EE初期時代に学んだ人も、その後の知識のアップデートに役立てていただけると思います。最新のブラウザの機能(セキュリティのヘッダーとか)も、過去の経緯や機能を踏まえて追加されることがほとんどです。一通りきちっと学ぶことで、今後出てくるトピックを追いかけるのがとても楽になるはずです。「読める!読めるぞ!」とムスカになったような感動が味わえるはずです。

後は、書いていてワクワクしていたポイントは、HTTPまわりの仕様にはさまざまなエンジニアリングの創意工夫があることです。後方互換性を維持するしくみとか、サーバー・クライアントでベストな選択肢を選ぶ方法、効率の改善。こういうところに着目して読んでもらえると(上級者には)楽しいと思います。

なぜ書こうと思ったのか

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posted by @shibukawa at 02:40 | TrackBack(0) | 日記 はてなブックマーク - 「Real World HTTP」が出版されます!
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